TOMO SAKAI

「緩」

柳の樹の下で Willow Tree / op.037

背高のっぽで幹はスリム 威圧感なく柔らかい気を放つ 柳の樹 暖簾をくぐるように 「ごめんください」と入れてもらう 長く垂れ下がった ドーム型の枝葉に囲まれてみれば…

笑色の空に Tinted Sky / op.026

北の果ての田舎町は 青々とした木々 こじんまりとした家 虫と鳥のさえずり 油絵のように じっとそこに居座っている 戻ってくると 知っていただろうか また帰ってくると 待っていただろうか…

うろこ雲 Buttermilk Sky / op.024

夏が終わりを告げるように キミの心は揺れていた そっと吐き出す小さな息が モコモコの雲を作っていく 空の隙間に現れた イナズマから逃れられない無力さが…

月と、ボクと。 The Moon and I / op.018

ボクは夢中でシャッターを切った。キミの美しさに見惚れている間もなく、一枚、また一枚と。 時にはうっすらピンクの輪を作り、時にはウサギの餅つき写し出し、キミはどんなモデルよりも美しかった…

さくら散るらむ Cherry Blossoms: A Moment of Beauty / op.015

ほんの十日前 まだら模様の鯉泳ぐ小川の上に 絡み合った小枝がアーチをつくり 冬の風が流れていた キミのつぼみが膨らむことが ボクの喜びとなった キミは美しかった…

氷窓 A Frost Covered Window / op.013

冬の北国、開かずの窓 透き通った分厚い板が 窓をカッチリと固め 落ちた雫と結びつく あちら側からこちら側 閉塞、それとも守護? 寒々しいから温かい…

空と柿 Sky and Persimmon / op.012

畑の脇にある、一本の柿の木 だいだい色のぷっくりとしたお尻を下げ 細い枝へつかまっている 見慣れた土の景色から天を仰ぐと 空と柿…

夕涼み A Cool Evening Breeze / op.003

そっと縁側に腰を下ろすと、見慣れた庭が姿を消す まるで、足を踏み入れてはいけないような 「涼」という名の空間が、そこにある 一筋の風がさらりと頬をなで…

Copyright ©2022 TOMO SAKAI