いつからか住みついた 箱庭の園で いくつもの視線を避けるように ひっそりと息をする ミクロの世界 消された生活感 耳を澄まし 目を見開けば ただ感覚を頼りに…
陽の射す道筋が キミの居所を示すかのように ボクの視線を誘い出す 一歩と一歩が重なって ボクらが生きた足跡となり 雨水が溝をさらうまで ボクらの道は続いていた…
白い粉雪がはらはらと舞う 小さな手袋がやさしくすくい、太陽にかざして輝きを見る 惜しそうに握りつぶし、夏に遊んだ泥団子の記憶をよみがえらせ、まん丸の小さな玉と…
海に浮かぶ 遠い昔の線路から 今なお、手を振る人々の影が残る 何千人もの思いを 途切れたアーチが物語り 風化に反比例してよみがえる…
白色が濁った絵の中に ひっそりたたずむ 一本の木 来る日も来る日も ほっそりとした枝を守りながら サクラ色の世界を夢見ている ふわりと霧雪…
薄暗い部屋の真ん中に 少女がひとり 座っている ふわりとしたスカートからのぞかせる 白い靴下を見つめながら 小さな木の椅子を揺らしていた…
そう、それは、この街に雪が舞い降りた晩だった。白い息が、空気を裂くように姿を消し、木も、家も、人も、次から次へと凍ってゆく…