背高のっぽで幹はスリム 威圧感なく柔らかい気を放つ 柳の樹 暖簾をくぐるように 「ごめんください」と入れてもらう 長く垂れ下がった ドーム型の枝葉に囲まれてみれば…
風のない晴天の下 いくつもの光の輪が降ってくる わずかな間に作るグラデーション 光を地上へ通してしまうほどの 繊細な色味の花をつけ 飛び跳ねて遊ぶ木霊たちを 目を細めて…
季節はずれのゴンドラに揺られ 沈んでいく夕日を見つめながら ボクらは1400メートルの山頂にやってきた 冷んやりとした大自然のクーラーに 顔をほころばせたキミを連れて 坂のない…
裸足で歩いた砂利道が いつまで続くと笑いあい 結ばれし手を離すまいと 尽くすことなく繋いだ言葉 花咲いて 花舞いて この目に焼きつけた キミから受け継いだもの…
陽の射す道筋が キミの居所を示すかのように ボクの視線を誘い出す 一歩と一歩が重なって ボクらが生きた足跡となり 雨水が溝をさらうまで ボクらの道は続いていた…
ボクが見つめていた満月を 同じときに見つめていた仲間がいる デコボコの月面を歩むように ボクの道にも光を射して この星がここにあるのだと 気づいてくれた仲間たち…
白い粉雪がはらはらと舞う 小さな手袋がやさしくすくい、太陽にかざして輝きを見る 惜しそうに握りつぶし、夏に遊んだ泥団子の記憶をよみがえらせ、まん丸の小さな玉と…
足に刺さる珊瑚が太陽の光をはね返し 水際へと誘う 波がそっと押し寄せて ふくらはぎに まとわりついては去ってゆく 幾度も、幾度も。波に呑まれて広がった…
白色が濁った絵の中に ひっそりたたずむ 一本の木 来る日も来る日も ほっそりとした枝を守りながら サクラ色の世界を夢見ている ふわりと霧雪…
万華鏡の中に入ってしまった雪ひとひら 薄い壁の向こうに光る太陽が、 雪片の美しさに磨きをかける ちらりと顔を見せて消える そしてまた、別の顔を見せる…