静かな夜。悲しみに浸りたいときに、この曲を。
人生には、浮くときもあれば、沈みそうになるときもありますよね。
たまには、心の暗い部分に浸ってもいいんです。
影を見つめれば、光が見えてくるのですよ。
雪ホタル
そう、それは、
この街に雪が舞い降りた晩だった。
白い息が、
空気を裂くように姿を消し、
木も、家も、人も、
次から次へと凍ってゆく。
緊張が頂点に達したその時、
すべてが、止まった。
そして、落ちてきた。
雪ホタル。温かい。
じわり、じわりと温もりが、
この街を包む。
ワレニカエル。
持ち上げた太ももを下ろし、
一歩、また一歩と進んでゆく。
動き出したそこにはもう、
雪ホタルはいない。
降るのはただの、白い粒。
街は、進む。
一歩、そしてまた、一歩。
あぁ、何処へ。
幻の、雪ホタル。
♠ composer’s note
雪は、実はあたたかいことを知らなかった。
北国の冬は、雪が降る直前が一番寒い。キリリとした張り詰めた寒さが頂点に達した時、ふわりと落ちてくる雪が、その空気をあたたかさで包む。まるで空からホタルが落ちてくるみたい。カチコチに凍った氷の塊に亀裂が入るように、その空気を打ち破る力さえある。
何も変わっていないようで、でも、明らかにその空気がちがう。人の意識も、ちょっと見方を変えるだけで、心が楽になる。
やさしい雪ホタル、降らしてみよう。
ホッとできる、音楽を♪
曲名:雪ホタル Snow Firefly
発売日:2011.02
曲の長さ:6’18”
主な楽器:ピアノ・オーケストラ
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