久しぶりに実家に泊まった雨の日 ベッドに横になっていると まるでテントの中にいるようだった 子供の頃よくキャンプに行き たまに雨が降ると テントのビニールに落ちてくる…
南東の夕空に現れた 輪郭の薄いイチゴ色の月は アイスクリームのように溶けてきて ボクの頭の中に流れこんだ トロトロの液体が薄ピンクに染めていき 角ばった脳みそを丸くして…
風のない晴天の下 いくつもの光の輪が降ってくる わずかな間に作るグラデーション 光を地上へ通してしまうほどの 繊細な色味の花をつけ 飛び跳ねて遊ぶ木霊たちを 目を細めて…
季節はずれのゴンドラに揺られ 沈んでいく夕日を見つめながら ボクらは1400メートルの山頂にやってきた 冷んやりとした大自然のクーラーに 顔をほころばせたキミを連れて 坂のない…
七色に光る雫が、音もなく空から落ちてきたとき 虹が小さく分解して 破片が飛び散ったようだった 泣くまいとこらえた涙を 代わりに流してくれるように 後から後から降ってくる…
裸足で歩いた砂利道が いつまで続くと笑いあい 結ばれし手を離すまいと 尽くすことなく繋いだ言葉 花咲いて 花舞いて この目に焼きつけた キミから受け継いだもの…
ボクが見つめていた満月を 同じときに見つめていた仲間がいる デコボコの月面を歩むように ボクの道にも光を射して この星がここにあるのだと 気づいてくれた仲間たち…
まっすぐに伸びたヒノキの影をたどりながら くるぶしから膝下へ じわじわ沁みる温度を感じ、息を凝らす 指先からこぼれ落ちた水滴が 小さく垂直にジャンプし 沈黙の水面に…
万華鏡の中に入ってしまった雪ひとひら 薄い壁の向こうに光る太陽が、 雪片の美しさに磨きをかける ちらりと顔を見せて消える そしてまた、別の顔を見せる…